ウクライナ学生2名がICUを卒業

イヴァンナ・トムチシェナさんとヴィクトリヤ・コレツカさんは、他3人のウクライナ人学生とともに、2022年5月にICUキャンパスに到着しました。ロシアによるウクライナ侵攻からまだ3か月たたない頃でした。5人の学生は、JICUFとICUが共同で資金提供する「日本・ウクライナ大学教育パスウェイズ(Japan-Ukraine University Pathways: JUUP)」奨学金を受賞して来日しました。当時、イヴァンナさんとヴィクトリヤさんはリヴィウのイヴァン・フランコ国立大学で日本語と日本文学を専攻しており、ICUでは科目等履修生として授業を聴講し始めました。2人は母国の大学の学部をリモートでを卒業した後、ICU大学院に出願し、2023年4月に正式に入学しました。
今年3月、2人とも公共政策・社会研究の修士課程を修了し、学位を取得しました。イヴァンナさんに、ICUでの時間を振り返ってもらいました。
かつて私は、日本への夢を抱く一人のティーネイジャーでした。しかしある日突然、人生で最も大きな決断を迫られ、戸惑う迷子のようになったのです。危険で未来の見えない祖国で家族とともに生きるか、長年の夢を追うために大切な人々を残し、何千キロも離れた場所に旅立つか。
今、この文章を読んでくださっている皆さんには、私がどちらを選択したかお分かりでしょう。日本に行きたい気持ちが私に恐れを乗り越えさせ、希望と明るい未来を与えてくれたのです。おかげで、私は日本でもっとも名高い大学の一つの修士課程で学ぶという、かけがえのない機会を得ることができました。ICUでの学びは、私の人生を大きく変えました。ここで私は成長し、数々の挑戦をし、かけがえのない思い出を作ることができました。ICUは、柔軟性、批判的思考、創造力の大切さを教えてくれました。これらの力は、学術面だけでなく、私自身の成長に大きく影響しました。
これから始まる新たな人生の章に、私は期待と不安の入り混じった気持ちで向き合っています。「第二の故郷」となった日本にもう少し滞在し、社会に貢献したいと願っています。ICUの内外で、素晴らしい方々と出会うことができました。真鶴や宮古島では息をのむような景色に触れ、京都や広島では歴史の重みを感じ、山形や静岡では驚くほど美味しい料理を味わいました。また、地域の明るい子どもたちや、歴史について語ってくれただけではなく、商品を20%割引きしてくれた川越の親切なお店の方などと、自分の経験を共有することができました。
ICUで過ごした日々を振り返ると、こんなに刺激的なコミュニティの一員でいられたことに、心から感謝の気持ちでいっぱいです。想像もしなかった形で自分自身が成長できたと感じており、その学びをこれからの未来に活かしていきたいと思っています。
私の長期的な目標は、ICUで培った知識と経験を活かして、ウクライナの発展に貢献することです。メディア分析、コミュニケーション、異文化交流の分野で磨いたスキルは、私の祖国が直面している課題に取り組む上で、非常に重要なツールとなるでしょう。いつ帰国できるかは分かりませんが、日本で過ごす時間を通して、意義ある変化を祖国にもたらすための専門知識と洞察力を得たいと願っています。
日本で得た全ての経験(喜びに満ちたものも、涙に濡れたものも)が、私にとってかけがえのないものでした。日本、そしてICUは、私に新たな世界への扉を開いてくれました。だからこそ、私は日本で旅を続け、真実を探求し、人と分かち合い、学び、笑い、泣き、祈り続けます。そしていつか、祖国の勝利のニュースが世界中に響き渡った時には、ウクライナに戻り、心から愛する二つの国をつなぐ架け橋を築きたいと思っています。
教授の皆さま、職員の方々、友人たち、そして学生仲間の皆さん、ありがとうございました。皆さんの優しさ、励まし、そして支えが、ICUでの時間を特別なものにしてくれました。この思い出をいつまでも大切にし、将来皆さんに誇りに思っていただけるよう、努力していきます。
心からの感謝を込めて、すべての皆さんにありがとう!
卒業式の日の2人のインタビューはこちらでご覧いただけます。
イヴァンナさんとヴィクトリヤさんの今後のご活躍を心よりお祈り申し上げます。