山内宏志先生がICUでブラインドサッカー体験会を開催
昨年、ICU保健体育科専任講師の山内宏志(やまうち ひろし)先生は、キャンパスでブラインドサッカーの体験会を開催するため、JICUFより12万円の助成金を受賞しました。
ブラインドサッカーは、晴眼者がアイマスクをし、全盲あるいは弱視の選手と共にするスポーツで、パラリンピックの正式種目です。
山内先生によると、ブラインドサッカーは2016年秋に初めて必修の体育の授業に導入されました。それまでもICUは障がいを持つ学生のために特別な体育の授業を実施していましたが、障がいを持つ学生が健常者と共に受けられるプログラムの実施は初めてだったそうです。体育の授業にブラインドサッカーを取り入れたことで、学生たちは他者を思いやることを学び、音声によるコミュニケーションの重要性を認識したといいます。今回のワークショップの目的は、ブラインドサッカーを体験することによって、学生が多様性を尊重し、コミュニケーション力を向上させるきっかけを作ることでした。
ブラインドサッカー・ワークショップは1月26日(金)にICUの体育館で開催されました。70分のセッションが2つ設けられ、合計30人の学生(3人の見学者を含む)が参加しました。山内先生は、日本ブラインドサッカー協会からファシリテーターの佐藤豪(さとう ごう)氏とプレーヤーの駒崎広幸(こまざき ひろゆき)氏を招待しました。
ワークショップに参加した学生2名が感想を寄せてくれました。
芳野萌絵(よしの もえ)さん(4年生)
「今回の体験を通してブラインドサッカーは、コミュニケーションがとても大切なスポーツだということを知りました。これからは日常生活においても相手の立場に立って考えることを意識していきたいです。」(芳野さんは上の写真の後列右から2人目)
土本周(つちもと あまね)さん(4年生)
「ニュースでは見たことのあるブラインドサッカーを初めてプレイしてみました。想像以上に難しく、いかに視覚からの情報が大切か分かりました。プレイしているときは、周りの人が声や音などでサポートしてくれ、助け合いながらプレイしていることを強く感じさせられました。私は4月から途上国支援の分野に就職するのですが、『相手の立場になって考える』という今回の学びを実践したいと思います。」(土本さんは上の写真の後列右から4人目)
以下は山内先生からの報告です。
スポーツの力をより良い社会づくりに活かす!ーブラインドサッカー体験会を終えてー
保健体育科 山内宏志
アイマスクを着けた仲間がいます。
言葉だけで、様々なストレッチを説明しなければいけません。
当たり前に思っていること、自分が考えていることを、
他の人たちが同じように共有しているとは限らない。
そんなステレオタイプを崩すことから、体験会はスタートしました。
皆が見えない状態で、グループを作っていきます。
誰が最初に声を出すか、緊張の瞬間です。
そして全員が一斉に喋り出しても、正しく聞き取ることができません。
リーダー、フォロワー、傍聴する人など、多様な仲間が必要です。
離れた位置にいる仲間を、どのように自分のところまで誘導するか。
見えない側、誘導する側、お互いのチャレンジがあります。
自分の身の安全を委ねるには、信頼も重要になります。
活動を通して、チームが出来上がっていきます。
そのスピードの速さはICU生ならではかもしれません。
いよいよ鈴の入ったボールを使ったアクティビティです。
足で止めたり、運んだり、蹴ったり、本当に難しかったです。
ただ皆の声を信じて、各々がチャレンジしました。
ミスがあっても、励ましあい、時に笑い飛ばし、皆でチャレンジし続ける、
ICUのコミュニティー、そして社会全体もそうあって欲しいと思いました。
ブラインドサッカーでは、ボールを取りに行くときに「Voy!」と声を出すルールがあります。
スペイン語で、英語の「 I go」を意味します。
一人ひとりがより良い社会づくりに貢献するため、今日学んだことを胸に、
「Voy!」の精神でアクションを起こしていって欲しいと思います。
改めて、JICUFのご支援に感謝申し上げます。
山内先生、ありがとうございました!