2020年度JICUF Study Abroad奨学金受賞者:河崎眞理子さん
2020年12月、ICU生の河崎眞理子さんが他2名の学生と共にJICUFのStudy Abroad奨学金を受賞しました。この奨学金は、北米の同窓会支部とその他のご支援者からのご寄付をもとに、より多くのICU生の留学を促進したいという思いから、2012年に設立されました。JICUFは毎年3名のICU生にそれぞれ3,500米ドルの奨学金を提供し、海外留学を支援しています。
河崎さんはこの夏、カリフォルニア大学デービス校への留学を無事終えました。河崎さんは心理学専攻、ジェンダー・セクシュアリティ研究副専攻の4年生です。カリフォルニア大学での留学生活に関する河崎さんの報告書(英文)はこちらでご覧いただけます。JICUFスタッフが、留学経験について詳しく伺いました。
JICUF:ご自身の研究と、この分野を目指した動機について教えていただけますか?
河崎眞理子さん(以下MK):小さい頃から人間観察が好きで、人が何を考えているかに興味がありました。高校時代には、自分のジェンダー・アイデンティティに悩み、カウンセリングを受け始めました。人生のさまざまな局面でメンタルヘルスとの関わりがあったため、心理学に興味を持つようになりました。ICUに入学して心理学の講義を受け始めましたが、そのうちのいくつかがピンときたのです。
心理学のどのような分野に関心があるかはっきりしていなかったのですが、ICUが提供する心理学の講義は限られていると感じていました。海外の大学を調べているうちに、カリフォルニア大学デービス校の心理学プログラムが充実していることをしり、興味を持ちました。
JICUF:報告書には、友人や寮での仲間との交流が、留学生活における重要な経験だったと書かれていましたね。国際的な環境における人との交流について、もう少し伺えますか。
MK:私のルームメートはアメリカ、韓国、インド出身の学生たちでした。一緒に生活するうちに、掃除の仕方や共有スペースの扱い方などに関して優先順位や習慣が違うことに気づきました。お互いのライフスタイルを理解するために、時々ミーティングを開き、特定の人のニーズを優先する必要はないと思うようになりました。また、寮の仲間は私に親切で、色々なところに誘ってくれたので、新しい人と出会い、話す機会を得ることができました。
JICUF:留学を通して、日本社会を見る目は変わりましたか。また、日本の社会をよりインクルーシブにするために、変わってほしいことはありますか。
MK:日本がよりインクルーシブになるための第一歩は、ICUなどの高等教育機関から始まるのではないでしょうか。例えば、アンケートなどの調査にある性別欄について、本当に必要なのだろうかといつも疑問に思います。調査のテーマが特に性別に関連ないものだとしたら、回答者の性別を聞く意味はあるのでしょうか。
さらに、多くの日本人はまだLGBTについて十分に理解していないと感じます。「ゲイ」という言葉は知っていても、まだまだネガティブなイメージがあるようです。現在、友人と共に、インスタグラムでLGBT関連用語や、LGBTの人々の本音を伝えるコンテンツを作っています。長い道のりですが、こうした基礎的な教育を行うことで、人々の理解が深まるのではないかと思います。私の世代では無理かもしれませんが、より若い世代に、人と違うことは悪いことではないと教え、LGBTに対する態度が変わればと願っています。
インスタグラムでは、「ジェンダー・アイデンティティとは何か?カミングアウトされたらどうしたら良いのか?」といった初歩的なトピックを取り上げ、LGBTコミュニティに属していない人たちに発信しようとしています。
日本ではまだ信頼できる情報が少なく、間違った認識が蔓延っています。私は台湾と上海に住んでいたことがあり、幼い頃から英語を学んでいたため、日本語以外の資料に触れる機会が多くありました。私は、日本の人々が自らを教育するために、明快かつ正確な情報を得ることの重要性を感じています。
河崎さんの留学生活を祝福し、ICU卒業後のご活躍をお祈りします!