JICUF助成金受賞者スポットライト:「日本語でいただきます – 食を通しての日本語交流」イベント
昨年12月、JICUF学生アクティビティ資金を受賞した佐々木瑛代(あきよ)さんは、新谷万智さん、村瀬歩美さん、穀田莉央さん、日比使門さんと共にイベント「日本語でいただきます- 食を通しての日本語交流」を企画しました。このイベントの目的は、様々な日本語レベルのICU生を招き、交流しながら日本文化について学ぶことでした。昨年12月から今年2月まで、2週間ごとに樅・楓寮1階のリビング・ダイニングで、うどん、お雑煮、節分、抹茶の4つのワークショップを開催し、和食特有の素材や料理法、慣習について学びました。ルールはただ一つ、できるだけ日本語を話すことでした。
各ワークショップの定員は20名で、少ない時でも13名が集まりました。日本人学生と留学生の割合はほぼ半々でした。大学院で心理・教育学を専攻する佐々木さんは、参加者が自由に交流し、日本語の練習をする様子に満足したそうです。以下は佐々木さんからの報告です。
「日本語でいただきます」は、様々なバックグラウンドの人が集まると、英語が使われがちであるICUで、料理をしながら、あえて「日本語で話そう」というプロジェクトです。ICUの中で、日本語で話しながら、誰かと繋がることができる場があればいいなという思いと、これまでのICUでの日本語教育の学びを活かしたいという思いで、このプロジェクトを立ち上げました。もう1つの軸に「料理」を選んだのは、その過程に様々な学びと交流の要素が詰まっていると考えたからです。協力しながら一緒に何かを作る、日本の食文化を知る、料理をする際の日本語を学ぶ、同じものを食べて共感する…。その中で、日本語を通して、新しい誰かとの出会いが提供できればと考えました。
全4回のイベントには、様々なICU生が参加してくれました。実際のイベントでは、日本語ネイティブと日本語学習者のバランスを見て、4〜5人のグループに分け、グループごとに料理を作りました。手打ちうどんのイベントでは、うどんを皆で踏み、お雑煮のイベントでは、関西と関東のお雑煮をそれぞれ作りました。恵方巻きのイベントでは、1人1本を同じ方向を見て無言で食べました。最後の抹茶とお菓子のイベントでは、ICUの茶道部に来ていただき、茶道の体験をしました。料理を作る前はぎこちないグループも、次第に話すようになり、イベントが終わっても残って話しているグループも多く見られました。
私はこのプロジェクトを通して、「誰でも来られる」というのが、いかに大切なことなのかを学びました。それぞれのイベントでは、どの日本語のレベルにも対応できるよう、ICUで日本語教育を学んでいる学生4人を中心にイベントを運営してもらい、また、食べられないものを事前に確認することで、ビーガンやグルテンフリーにも対応できるようにしました。例えば、英語を使わずに、相手がわかるような日本語で話すのは、日本語ネイティブにとっては意外に難しいことです。また、ビーガンの人は魚の出汁に苦労していることなど、それは周りにとっても学びになります。様々な人が集まることで、互いに学び合うことができるのはもちろんですが、それを踏まえて、一緒に過ごすためにどう工夫するのかも、誰かと繋がるには大切な過程だと感じました。
イベントのご成功、おめでとうございます!