2019年度JICUF米国人学生イニシアチブ奨学生がICUに入学
ルーク・ウィルソンさんとニコラス・コレアさんは、JICUFの米国人学生イニシアチブ奨学金(USSI)を受賞した第2期生です。この奨学金は、ICUで学位取得を目指す米国籍の学生を増やすために設立され、ICUで学部教育を受ける4年間、学費を全額支給します。
今年9月に入学したばかりのお二人にお話を伺いました。
ルーク・ウィルソンさん
ルーク・ウィルソンさんは、オレゴン州ポートランドで日系人の母とアメリカ人の父の間に生まれました。キンダーガーテン(幼稚園の年長)から高校まで、日本語を教えるマグネットスクール(特殊なカリキュラムのある学校)に通い、集中的に日本語を学んできました。趣味は寝ること、友達と遊ぶこと、そしてICUのサッカー部の活動だそうです。
JICUF:米国人学生イニシアチブに応募したきっかけは?
ルーク・ウィルソンさん(以下LW):この奨学金について教えてくれたのは高校の日本語の先生でした。先生はICUの卒業生だったのです。私は日本の大学で日本語の学習を続けたいと考えていましたので、どこの大学がお勧めかお聞きしたところ、先生は母校贔屓と思われるかもしれないけれど、ICUを強くお勧めしますとおっしゃったのです。ICUについて調べてみると、リベラル・アーツ教育も含め、すべてがとても気に入りました。奨学金については、ウェブサイトからも情報を得ました。寛大な奨学金で、私にとっては願ってもいないものでした。試しに応募した結果、今ここにいるのです。
JICUF:日本での生活とICUについての感想は?
LW:とても楽しんでいます。外国に引っ越し、4年間を過ごすのは少し緊張するし、恐怖心もありました。しかし少しずつ生活に慣れてきました。寮に住んでいるので、新しい人に出会ったり、日本人の学生と接することができますし、毎日日本語を話せるので日本語が上達しています。寮生活だけでなく、街に出るのも好きです。東京にはずっと来てみたいと思っていました。これまで、日本の他の地域には行ったことがありましたが、東京を訪れたことはなかったのです。テレビやYouTubeで見たことしかなかったのですが、住んでみると馴染めるものですね。電車に乗ったり、レストランで食事をしたり、日本の文化にすっかり溶け込んでいます。
JICUF:ICUでの目標は?
LW:ICUに入学した第一の理由は日本語を上達させたかったからです。もっと流暢に、正しい文法で話せるようになり、語彙も増やしたいと思っています。また、卒業後の進路についても考えたいと思います。ICUを選んだ主な理由の一つは、リベラルアーツ教育を実施していることでした。多様な授業を受講し、2年生の終わりまで時間をかけて専攻を決められる点がとても気に入っています。今、メディア・コミュニケーション・文化と国際関係論の間で迷っているので、自分がどちらにより興味があるか見極めたいと思います。
JICUF:USSIを支えてくださっている方々へのメッセージはありますか?
LW:まずは、この奨学金をご支援くださったことにお礼を申し上げます。とても感謝しています。リベラルアーツ教育を受けたいと願う学生、特に日本語学習に熱意を持っている学生にとって、素晴らしいプログラムだと思います。
この奨学金を受賞し、未だに信じられない気持ちです。登校する途中で、受賞の通知メールを開けた瞬間のことを覚えています。ガソリンスタンドに車を停め、メールを開けた時、ガソリンを入れてくれていたスタッフに伝えたのですが、彼も一緒に大喜びしてくれました。こんなこと、彼にとっても滅多にないことだったのだと思います。このような奨学金のある日本の大学は少ないので、ICUにあることは素晴らしいことだと思います。本当に行きたい大学の奨学金をいただけてびっくりし、感動しました。
ニコラス・コレアさん
通称「ニコ」のニコラス・コレアさんは、過去10年間をカリフォルニア州サンディエゴで過ごしました。その前、5歳から8歳までは神奈川県横須賀市に滞在しました。日本文化との最初の出会いは日本の幼稚園に入園した時でした。両親は日本人とメキシコ人で、多様な文化が入り混じる環境に慣れているといいます。
JICUF:USSIに応募したきっかけは?
ニコラス・コレアさん(以下NC):奨学金のフライヤーが郵便で届いたので、ICUについて調べてみました。当初はアメリカの大学に進学するつもりでしたので、自分が日本の大学に行くことについてどう思っているのかよくわかりませんでした。しかしこの奨学金について知った時、選択肢を広げておこうと思いました。また、もしも奨学金を得られれば、学部教育にかかるお金を貯めて、ロースクールに進学することができるかもしれないと思いました。もともと大学院進学に関心があったのです。
JICUF:日本での生活やICUについての感想は?
NC:とても楽しんでいます。来た当初から、様々な国の人たちに出会いましたが、誰もがオープンなのです。オーストラリア、イギリス、フランス、ロシアなど、本当に多様な国の人と出会いました。サッカー部に入り、(寮の)ダンスのイニシエーションもあって、忙しくしていました。イニシエーションでは、他に希望者がいなかったこともあり、リーダー役を買って出ました。どんなパフォーマンスをするか、皆で合意するのに苦労しました。それぞれバックグラウンドが違うので、考え方も違いますし、お互いの考えを理解するのも容易ではありません。そんな中で問題を解決していくのは、まるで小さな国連にいるようでした。多様な国の代表が集まり、問題を解決する体験は、より大きな場に適用できるのではないかと思いました。
また、ICUでの授業も楽しんでいます。社会学の授業は特に新鮮です。ICUの授業は、学生に情報を伝達するだけでなく、充実した大学生活を送ることを考えて作られていると思います。例えばキリスト教概論について思うのは、キリスト教に全く接したことのない学生を対象に教えるという前提のため、高校時代に取った宗教の授業とは視点がそもそも違うのです。高校では読んだことのなかったキリスト教に関する本を読み、多くを学んでいます。
JICUF:ICUでの目標は?
NC:一つの大きな目標は、自分の興味の対象を絞ることです。まだ何を専攻するか決めていないので、なるべく早く決めたいと思っています。一時期、工学に関心があったのですが、高校3年の時に気が変わりました。今もまだ模索中です。
また、海外留学をしたいと思っています。私はアメリカ出身なので、すでに留学しているわけですが、ここからスペイン語圏の大学に留学したいと思っています。日本語と英語以外の言語も習得したいのです。スペイン語を上達させ、四つ目の言語を学ぶことも考えています。
さらに、友人たちと日本を旅したり、陶器作りなどの趣味も楽しむ時間も確保したいと思います。
JICUF:USSIを支援している方々へのメッセージはありますか?
NC:大学進学を目指す学生が直面する経済的問題を考慮し、このような教育の機会を与えていただき感謝します。世の中をよりよくしたいと願う学生に投資してくださり、ありがとうございます。