ICUにおけるオンライン授業とJICUFによる支援
ICUは新型コロナウィルス感染症拡大を受け、全国的にいち早くオンライン授業を導入しました。3月12日の大学幹部会で、4月9日よりすべての授業をオンラインに切り替える決定が行われ、その後オンライン授業は春学期の終わりまで延長されました。
ICUがオンライン授業導入を決定して間もなく、JICUFエグゼクティブ・ディレクターのポール・ヘイスティングスは大学幹部に支援を申し出ました。具体的な支援方法として、オンラインでセミナーや会議を開催するためのアプリ、Zoomの費用を負担することが一つの可能性として挙げられました。4月下旬、JICUFはICUのZoomライセンス1年分に当たる資金を提供しました。
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ICUにおけるオンライン授業がどのように実施されているかにつき、鄭仁星(ジョン・インソン)教授(教育学)にお話を伺いました。鄭先生の専門は教育工学です。
JICUF:オンライン授業はどのような形で実施されていますか?
鄭教授(以下敬称略):今学期は2つの授業を教えています。一つは基礎科目で40人の学部生が受講しており、もう一つは大学院の授業で9人の院生が受講しています。
基礎科目の授業では、ZoomとMoodleを使用しています。
- 5限にはZoomで15分間のレクチャーを一つか二つリアルタイムで行い、その後は質疑応答、ゲストスピーカーまたは副講師による10分ほどのプレゼンテーション、15-20分の分科会セッションと各グループによる報告と続きます。分科会セッションでは、学生が3人から5人の小グループに別れて授業の内容やグループワークの課題について話し合います。
- 6限には学生はZoomセッションを離れ、Moodleで30分から40分、録画・録音済みのビデオレクチャーやオーディオレクチャーを視聴し、コンピューター技術(パワーポイントでビデオを作成する方法、エクセルの機能など)を習得します。その後再びZoomに戻って質疑応答を行います。ビデオ及びオーディオレクチャーを完全に理解し、課題をこなせる学生は質疑応答に参加する必要はありません。
- さらに、カリフォルニア大学アーバイン校の学生と実施しているCOIL(オンライン国際交流学習)プロジェクトには、Discordというコミュニケーション・アプリを使用しています。
大学院の授業でもZoomとMoodleを使っていますが、違う使い方をしています。10回の授業のうち7回はZoom、3回はMoodleとZoomの両方を使います。
- Zoomで行う授業では、学生は事前に小テストを受けるか、その週の読書課題のサマリーをMoodleで提出することを義務づけています。各クラスではまず20-30分の講義または学生によるプレゼンテーションを行い、30分間の分科会セッションを開催します。各分科会では3人の学生が共同プロジェクトに取り組みます。私は各グループに10分ずつ参加し、フィードバックを与えます。
- ZoomとMoodleの混合授業では、学生はまず読書課題をこなし、ワークシートや課題に取り組みます。その後3人ずつのZoomセッションで課題の理解度を確認します。
JICUF:オンライン授業に対する学生の反応はいかがですか。
鄭:基礎科目を受講中の40人の学部生は日本全国に散らばっており、アメリカにいる学生も1人います。今のところ、欠席者は出ていません。Moodleのログインデータを見ると、ほとんどの学生が読書やレクチャーの視聴、投稿などを積極的に行っています。全体的にオンライン授業にうまく順応しているように思えます。数名の学生はZoomでの授業に携帯で参加していますが、携帯では画面共有機能に限界があるようです。
9人の院生は日本国内の様々な都市にある自宅またはキャンパス内の寮から授業に参加しています。仲間と密接に連絡を取り合いながら授業の課題に取り組むのを楽しんでいる様子です。
JICUF:オンライン授業を実施するに当たって、ICUの教員間でサポートし合うことはありますか?
鄭:他の方がどのように支援し合っておられるか分かりませんが、私はオンライン授業に移行する際、2-3名ずつ、異なるデパートメントの先生方のお手伝いをしました。また、同じデパートメントの先生方のためにオンラインセッションを開催し、何度か個別のZoomセッションも行いました。他の先生方と交流できるよう二つのLINEグループにも参加しており、オンライン授業の経験を共有したり、教育戦略とその効果、学生の支援方法などについて話し合っています。他の先生方もおそらくLINEなどのツールを使って互いにサポートし合っておられると思います。