JICUFが教育パスウェイズに関するアジア太平洋地域会合を共同企画
昨年5月、JICUFが教育パスウェイズのためのグローバル・タスクフォース(GTF)、パスウェイズ・ジャパン、上智大学と共催した「難民のための教育パスウェイズの拡大(Expanding Refugee Education Pathways)」に関する会議で、アジア太平洋地域からの参加者が、地域会合の必要性を訴えました。教育パスウェイズ(教育を通じた難民の補完的受け入れ)*の開設や拡大に関する議論は、ヨーロッパや北米で行われることが多く、アジア太平洋地域からの参加が困難であるためです。
そこで、在フィリピン・カナダ大使館が主導し、デ・ラサール大学、難民教育特別利益団体(Refugee Education Special Interest Group:RESIG)(オーストラリア)、パスウェイズ・ジャパン、JICUFが企画委員会を結成し、地域会合を開催することになりました。
在フィリピン・カナダ大使館とデ・ラサール大学がマニラでの共催を申し出て、2024年2月12日及び13日にマニラのホテル・ベニルデで会合が開催されました。主な目的は、第三国における難民の教育の機会拡大、地域のステークホルダーが昨年末のグローバル難民フォーラムで行ったプレッジやその実施上直面する諸問題、各国で大学のコンソーシアムを立ち上げる意義、プログラムの評価や調査の必要性などについて議論することでした。
会合には、地元フィリピンはもちろん、オーストラリア、バングラデシュ、韓国、タイ、日本から、40人以上の政府、国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)、高等教育機関、NGO、学生代表が参加しました。ハイブリッド・セッションには、他国からの参加者もいました。フィリピンで難民学生の受け入れを開始した6大学(デ・ラサール・アラネタ大学、デ・ラサール・バコロド大学、タルラック州立大学、コロンバン大学、サン・ベダ大学、セント・ルイス大学)の代表が14名の学生を率いて参加したことは、特に有意義でした。フィリピンでは、法務省がUNHCRと密接に連携し、マレーシアに居住するロヒンギャの学生を採用しています。
オーストラリア国立大学の准教授でRESIG共同代表のサリー・ベーカー氏は、2023年6月以降、オーストラリア政府がRESIG、オーストラリア・コミュニティ難民スポンサーシップ(Community Refugee Sponsorship Australia (CRSA))、そして設立されたばかりのオーストラリア難民ウェルカム大学スポンサーシップ・コンソーシアム(ARWUSC)と共同で、難民学生定住パスウェイ(Refugee Student Settlement Pathway (RSSP))を設計中であることを紹介しました。現在、RSSPは連邦政府の移民・市民権大臣が審議中で、2024年中に正式発表があることが期待されています。
日本からは、パスウェイズ・ジャパン(PJ)代表理事の折居徳正氏が、PJとJICUFによる難民学生の受け入れ事業及び両機関が共同運営する「日本教育パスウェイズネットワーク(JEPN)」について発表しました。JEPNには現在22機関が加盟しており、難民学生受け入れのベスト・プラクティスを共有する他、難民学生のエンパワメントを目指す活動を実施しています。
JICUF副代表の髙田亜樹は、冒頭でグローバル・タスクフォースの概要と最新の動きを紹介し、本会合の参加者に、タスクフォースの実践者コミュニティに積極的に参加するよう呼びかけました。
会合の詳しい報告書は、近日中にタスクフォースのウェブサイトに掲載される予定です。
*教育を通じた補完的保護とは、通常の留学生のための奨学金とは異なり、難民学生に国際的保護を与え、卒業後も第三国にとどまって自立した生活を送るための基盤を作ることを前提としています。