ICU大学院が外交・国際公務員養成プログラム(DIPS)のキックオフ・イベントを開催
今年4月、ICU大学院が「外交・国際公務員養成プログラム(DIPS)」を開始しました。このプログラムは、外交官・国際公務員を志望するICUの大学院生と、学士・修士を5年で取得する「5年プログラム」の学生を主な対象とし、関連授業や実践体験を通して知識習得・キャリア構築を促進します。4月20日(土)には、プログラム開始を記念してICUでキックオフ・イベントが開催されました。春らしい晴天の下、定員を上回る学生が参加し、午後からは授業を終えたICU高校生30名も加わり、盛況のうちに終了しました。
イベントは外交・国際公務員養成プログラム委員会ヘルマン・サルトン委員長による挨拶と、日比谷潤子学長による開会の辞で開幕しました。日比谷学長は、ICUが第二次世界大戦後、国家間の和解と平和を願って献学され、これまで数多くの卒業生が国際機関で活躍していることに触れ、「持続可能な開発目標(SDG)」を推進することの重要性を強調し、本プログラムを履修した学生が国際舞台で活躍することに期待を寄せました。
午前の部では、「ICUから外交官を目指す」と題したパネルデイスカッションが行われました。元国連大使でICU卒業生の吉川元偉特別招聘教授がモデレーターを務め、同じく卒業生の現役外交官3名が登壇しました。それぞれが外務省を志望した動機や試験準備、入省時に決められた語学枠や外務省での仕事内容、苦労体験などについて語りました。ICU生への助言として、「新聞を読んで自分で調べる習慣をつける」、「やりたいことを見つける」、「周りに認められる」、「与えられたことを好きになる」などを伝えました。
午後の部では、まず外務省国際機関人事センター室長の本田誠氏が「国際機関職員への道」と題した講演を行いました。本田氏は、国際機関で働く邦人職員の数がいかに少ないかを統計的に示し、国際社会に貢献するためにより多くの日本人に国際機関で活躍してほしいという日本政府の願いを伝えました。また、国際公務員として国際社会全体に奉仕し、それを通して自己実現することに魅力を感じてほしいと学生に訴えました。さらにSDGにも触れ、発掘・育成したい国際機関邦人職員像と、そのような人材に必要な能力を提示しました。
続いて毛利勝彦教授が、外交・国際公務員養成プログラムの概要とICUにおける国際インターンシップの取り組みを紹介しました。本プログラムがインターンシップや第2外国語の学習を奨励していることを説明し、特に低学年のうちから英語や国連公用語の学習、関連授業やセミナーを受講するなど、自ら積極的に学んでいくことの重要性を強調しました。
その後のパネルデイスカッションは、国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)、国連児童基金(UNICEF)、国連広報センター(UNIC)、国連開発計画(UNDP)の東京事務所から4名のインターンを招いて行われました。パネリストの1人はICU高校の卒業生でした。ICUの卒業生で、国連で35年以上のキャリアがあるプログラム・アドバイザーの森田宏子氏がモデレーターを務めました。参加学生にとっては、年齢も近く、学生という立場で国際機関でインターン中のパネリストから、日常業務の内容やインターンシップから学んだこと、キャリア目標などについて直接話を聞く貴重な機会となりました。
最後に海蔵寺大成大学院部長が閉会の挨拶を行い、2019年度に開始した3つの大学院学修士プログラムの1つである本プログラムが、様々な関係者からの協力・支援により実現したことへの感謝とともに、ICU献学の精神を土台にしたプログラムが今後成長することへの期待を述べました。
<この記事は森田宏子氏が寄稿し、JICUFスタッフが編集しました。>