ICU生がジェサップ国際法模擬裁判大会国内大会で総合3位、弁論3位及び4位を受賞
2021年2月12日(金)から14日(日)に開催されたジェサップ国際法模擬裁判大会2021国内大会(主催:日本国際法学生協会、ナショナルアドミニストレーター:柴田明穂神戸大学教授)に、ICUから山崎智尋さん(教養学部3年)、ワトソン・ケイラブ・瑛士・ギルエスピーさん(同2年)、奥村幸太さん(同2年)、シャルマ・カヴィヤさん(同1年)が出場し、ICUチームは総合順位第3位、山崎さんは被告弁論第3位、シャルマさんは原告弁論第4位に輝きました。大会には本学のほか、京都大学、上智大学、西南学院大学、東京大学、東北大学、北海道大学、立教大学、早稲田大学が参加しました。
模擬裁判大会では、パンデミックをめぐる現実の事件を素材とした架空の国家間紛争に関する問題文について、約3ヵ月間、綿密な文献調査を踏まえて原告・被告双方の立場から入念に法的議論を準備し、裁判官役を務める大学教授・外交官・弁護士らの前で口頭弁論を行い、質問に応答する法的技術を競いました。模擬裁判を通じて身に付つけた能力は、法を用いた紛争の平和的解決に大きく貢献することが期待されます。
模擬裁判活動は、徹底したアクティブラーニングの教育法として世界中の大学で導入されるなど、近年注目されており、本学でも松田助教がニューヨークに拠点をおく本学の関連機関である日本国際基督教財団(JICUF)の助成を受け「平和と人権のための法学国際アクティブラーニング(International Active Learning in Law for Peace and Human Rights)」というプロジェクトを進めています。
被告弁論3位になった山崎さんのコメント:
模擬裁判大会が扱う国際紛争とは、現在の国際法が明確な答えを出せない問題でありながら、人間の重要な利益に関わるようなものです。そうした誰にとっても「正義」が明らかでない紛争を前にその当事国の間に立つ司法部が担う使命とは、両者の主張を慎重に理解し、法を共通基盤とする対話を通じてなんとか和解できる結論を見出そうとする不断の努力に他なりません。本大会で私たちが経験した活動とは、そうした法的対話のプロセスでした。
今日私たちは「正義」と「正義」が深刻な対立を生む社会、未知の恐怖を理由に人間の自由が極端に制限される歴史的時代を共に生きています。このような悲痛と苦しみの中においてこそ、各国内・国際の法に関わる人々が対話を通じて人権を守る砦となり、よりよい社会を創造する一端を担うのだ、と私は信じています。
将来世界平和への貢献を目指すより多くのICU生がこの学び舎で法学を学び、模擬裁判大会への参加を通じてこの法的対話のプロセスに立ち会う仲間となることを期待します。
指導にあたった松田助教のコメント:
ジェサップ国際法模擬裁判大会は長い歴史を持つ世界最大の国際法模擬裁判大会で、ICUチームは昨年から2年続けて出場しています。30人以上で取り組む伝統校チームも多いなか、ICUチームはたった4人の少数精鋭チームでしたが、英語弁論の力を発揮して大活躍しました。今年はCovid-19の影響により準備から本番まですべてオンラインとなり、学生とは一度も対面で顔を合わせませんでしたが、法律文献のリサーチ、リーガルライティング、英語プレゼンテーション、そしてチームワークの質はいずれも非常に高く、オンライン教育の新しい可能性を切り拓く成功事例となりました。3月に開催されるオンライン世界大会への出場も既に決まっており、ICU生のさらなる国際的活躍が期待されます。