ICU生・岡田光さんの東北訪問記
JICUFは数年前からボランティア組織「チームあすなろ」の東北での復興支援活動を支援しています。須賀信平さんが率いる「チームあすなろ」は、東日本大震災のわずか3ヶ月後に東北で活動を始め、これまでに88回東北を訪れています。(2016年の須賀さんのインタビュー記事はこちら。)ICUの加藤恵津子教授は、ICU生に参加を呼びかけ、これまでに数回JICUFの助成金を受賞しています。JICUFの助成金は、主に学生の交通費と宿泊費に当てられています。学生は週末を使って「チームあすなろ」のメンバーと東北を訪れています。
ICU教養学部2年生の岡田光(ひかり)さんは、3月16日から18日にかけて、チームあすなろの東北ボランティア活動に参加しました。その体験について感想を書いてもらいました。
「チームあすなろに参加して」 岡田光
震災後7年が経った東北の現状を見なければ、という思いで出発した今回の活動では、そこで暮らす人々の姿を見られたと同時に自分自身の生活を振り返させられる機会となった。特にここでは、活動2日目の語り部の方との出会いがとても印象的であったため、それについて特筆したい。
雄勝(おがつ)で出会った語り部の藤本和(のどか)さんは、小学校5年生で被災して自宅を失い、その時に得た教訓を伝えるべく当時から語り部として活動されている。私たちは当時の雄勝小学校が避難経路として指定していた道に案内されながら、詳しくしかし淡々と3月11日以前から今までの経験を共有していただいた。ひとつひとつの話がリアルで印象的であったが、その中で何よりも驚かされたことは、彼女が地元について多くを語れるということであった。雄勝の歴史や地場産業、当時の人々の生活の様子などの事細かな話からは生きた町が容易に思い浮かばれた。そして、彼女も言及したように、地元に密着した生活と親密なコミュニティこそが多くの住民の命を救った要因であったのだと分かった。このことについて我が身を振り返ると、もうじき20年暮らす地元に関してどれだけ語れるのか自信がないというのが本音だ。近年の住みたい町ランキングの上位に名を連ねる町で、商店の移り変わりが早いにせよ、自分の町の歴史を語れず自慢できないことが素直に恥ずかしいと感じたのはこの時が初めてであった。そして何よりも、近い将来危惧されている都市直下型地震に備えて、地元に関する知識を身につけなければと強く思わされたのであった。
今回の活動では、多少の衝撃はあったものの、以前にボランティアとして東北を訪れた時に強く感じたストレスのようなものはほとんどなく、想像以上に前向きな収穫を得られたことは意外であったと思う。そして、これらの学びは、今回の活動で出会った東北の人々の思いやりや、これまでチームあすなろがそれらの人たちと築いてきた信頼関係なくしてありえなかっただろうと確信する。そして、金銭的なサポートをしていただいたJICUFには心から感謝している。この学びを自身が所属するサークルでのこれからの活動にも活かしつつ、大切に記憶したいと感じる。また機会があれば、今回の出会いを未来につなげるためにも、積極的にチームあすなろでの活動に参加していきたい。最後に、今回の活動を支えてくださった多くの人々に感謝します。本当にありがとうございました。
「チームあすなろ」は、学生だけでなく、社会人ボランティアも募集しています。2019年4月までの活動予定はこちら。参加を希望される方は、チーム代表・須賀信平さんにメールかフェイスブックを通してご連絡ください。