JICUFが「難民のための教育パスウェイズの拡大」に関する会議を上智大学で共催
5月17日(水)及び18日(木)、JICUFは上智大学において「難民のための教育パスウェイズの拡大(Expanding Refugee Education Pathways)」と題した会議を、教育パスウェイズのためのグローバル・タスクフォース、パスウェイズ・ジャパン、上智大学と共催しました。グローバル・タスクフォースは2020年、国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)のリーダーシップの下、高等教育を通して第三国に難民を受け入れるプログラムを拡大するために結成されました。「教育パスウェイズ」と呼ばれるこれらのプログラムは、通常の留学生のための奨学金とは異なり、難民学生に国際的保護を与え、卒業後も第三国にとどまって自立した生活を送るための基盤を作ることを前提としています。
JICUFは、米国国際教育研究所(Institute for International Education)、カナダ世界大学サービス(World University Service of Canada)、ポルトガルやドイツ政府、オープン・ソサイエティ大学ネットワーク(Open Society University Network)などと共に、グローバル・タスクフォースの創立メンバーの一つです。2017年からICUでシリア人学生イニシアチブを実施し、日本だけでなく世界諸国で、より多くの機関が教育パスウェイズに取り組むようアドボカシーを行ってきたことが評価され、UNHCRに招待されたのです。今回の会議は、2022年6月にパリで開催された第一回実践者会議に続く、第二回会議でした。
会議の包括的目標は、新たな教育パスウェイズを構築し、既存のプログラムを拡大することでした。20カ国から、政府、国際機関、教育機関、NGO、難民ネットワークなどを代表する60名ほどが参加しました。パスウェイズ・ジャパンとJICUFは、フィリピンや韓国など、アジア諸国の間で教育パスウェイズに対する関心が高まっていることと、日本政府が他5カ国と共に今年末開催されるグローバル難民フォーラムの共同議長国となったことなどから、今年の実践者会議を日本で共催することを提案しました。
開会式は永田町の衆議院議員会館で開催され、逢沢一郎衆議院議員と外務省国際協力局審議官の日下部英紀氏が挨拶をした他、UNHCR教育担当官のマナル・ストゥルガイティス氏とグローバル・タスクフォース代表のレベッカ・グラナート氏が難民の世界的背景と、教育機会拡大の重要性について話しました。
その後一行は上智大学に移動し、二日間の議論を開始しました。会議の準備段階でJICUFが重視したのは、参加者全員が能動的に関われるフォーマットを考案することでした。4つのセッションでは6-7名の小グループでディスカッションを行い、セッションごとにメンバーを入れ替えて、各参加者ができるだけ多くの人と話せるよう工夫しました。その結果、教育パスウェイズの企画実施や難民学生の社会統合について深い議論を行うことができました。主な議題は以下の通りです。
- なぜこの仕事に取り組むのか?
- 教育パスウェイズにおける「成功」」とは?
- 難民にとっての「恒久的な解決」とは?それはどのように実現できるのか?
- 教育パスウェイズにかかる経費は?資金はどのように調達するのか?
- 学生をどのように募集し、選考するのか?
- 高等教育機関への受け入れ後、難民学生が直面する問題は?教育機関や他の学生はどのように彼らを支援できるのか?
会議の目標の一つは、教育パスウェイズに携わる機関・個人間の関係を構築・強化することでしたが、小グループを通して深い議論を行うことでこの目標は達成され、参加者からは概ね好意的な感想が寄せられました。
5月19日(金)には、グローバル・タスクフォースの幹部11名がICUで集まり、今後の活動について話し合いました。途中、ICUの職員やシリア人学生がタスクフォースのメンバーと交流したり、キャンパスを散策する時間も設けました。ICUが取り組んでいるプログラムを、教育パスウェイズの専門家に紹介するまたとない機会でした。
会場を提供してくださった上智大学とICU、世界各地から集まった参加者の方々に感謝します。「楽しむこと」も会議の目標の一つでしたが、この目標もしっかり達成しました。