JICUFがグローバル・スカラシップを設立
JICUFは長期に渡ってICUの学生に奨学金を提供してきました。これらの奨学金は、国内の学生と海外からの留学生、また学部生と大学院生の両方を対象としてきました。これまでは、毎年JICUFからICUにまとまった資金を送金し、ICUがJICUFの奨学金の申請から支給までのすべての過程を担当してきました。
昨年、JICUFはICUと共に奨学金制度を見直し、過去のデータとベストプラクティスを分析した上で、奨学金制度の改革に取り組みました。改革の目的は3つあります。1つは、学部取得を目指す留学生の数を増やすこと。2つめは、ICUの学生の出身国ばかりでなく、社会経済的背景の多様性を高めること。そして3つめの目的は、卒業後も小学生がJICUFとの繋がりを保てるよう、ネットワークを構築することです。これらの目的を念頭に、JICUFグローバル・スカラシップを設立しました。グローバル・スカラシップは、「シリア人学生イニシアチブ」、「米国人学生イニシアチブ」、「交換留学生イニシアチブ」、「Study Abroadイニシアチブ」の4種類から成ります。以下、各カテゴリーをご説明します。
米国人学生イニシアチブ(United States Scholars Initiative, USSI)
米国人学生イニシアチブは、学位取得を目指す米国籍の学生を増やすため、日本及びリベラルアーツ教育に関心のある米国の高校卒業者を対象に、4年間の学費を全額支給します。2018年度を皮切りに、毎年2名の学生の受け入れを予定しています。
シリア人学生イニシアチブ(Syrian Scholars Initiative)
世界人権宣言へのコミットメントと基督教精神に基づき、JICUFはトルコ在住のシリア難民のための奨学金を設立しました。国連によると、2017年3月現在までに、シリア危機により死者40万人、国内避難民630万人、難民500万人が発生しています。シリアの隣国であり、ヨーロッパへの通過地点でもあるトルコは、どの国よりも多い300万人近くのシリア難民を受け入れています。内戦が起きる前は、シリアは中東でも高い教育水準を誇る国でした。しかし、情勢の悪化に伴い、何百万人もの若者が教育の機会を奪われています。
JICUFは、2018年9月入学予定の2名のシリア人学部生に対し、4年間全額支給の奨学金を提供します。ICUの他、日本難民支援協会(JAR)、Jusoor(シリア国外に居住するシリア人が構成すNGO)、米国国際教育研究所(IIE)と協力してプログラムを運営する予定です。SSIは日本の大学における初の民間主導の難民受け入れプログラムであり、実施には困難な側面もありますが、取り組み甲斐のある課題です。
交換留学生イニシアチブ
ICUは長年、世界中の70以上の留学協定大学からの交換留学生を受け入れてきました。JICUFはこれまでICUで学ぶ交換留学生に奨学金を提供してきましたが、今後はまだ留学生数の少ない南アジア、アフリカ、南アメリカなどの地域からの学生を中心に支援していきたいと考えています。
Study Abroadイニシアチブ
JICUFは過去5年間、海外の大学に留学するICUの学生5名に比較的少額の奨学金を提供してきました。しかし2018年以降は、経済的な支援を要する1名の学生にまとまった額の奨学金を提供していきたいと考えています。支援がなければ留学が困難な学生に、海外での学習の機会を提供します。
JICUFグローバル・スカラシップの各カテゴリーにつき、随時最新情報をお届けして参ります。奨学金へのご寄付を検討していらっしゃる方は、是非JICUFにご連絡ください。皆様と共に、ICUのさらなる発展に貢献していきたいと考えています。