JICUFが在日カナダ大使館で「難民のための技能に基づく補完的パスウェイズ」ワークショップを共催
2024年11月20日から21日にかけて、JICUFは在日カナダ大使館で「難民のための技能に基づく補完的パスウェイズ:長期的な社会統合に向けた課題と解決策」と題したワークショップを共催しました。JICUFは同大使館と公益財団法人パスウェイズ・ジャパンと共に、難民が教育や就労の機会を通じて第一次庇護国から日本に移住するためのプログラムを紹介しました。「技能に基づく補完的パスウェイズ」(Skills-based pathways)とは、高等教育や就労を目的に、一定の技能を持つ難民を第三国に受け入れる道筋を指します。政府による難民の第三国定住を補うことから、「補完的パスウェイズ」と呼ばれます。2023年12月の第二回グローバル難民フォーラムでは、教育パスウェイズのためのグローバル・タスクフォースと、就労パスウェイズのためのグローバル・タスクフォースが、今後5年間に20万人の難民をこれら補完的パスウェイズを通して第三国に受け入れることを目指す共同プレッジを提出しました。
今回のワークショップの構想は、在日カナダ大使館が難民に関心を持つ組織を集め、日本をはじめとする世界各国で教育・就労パスウェイズを開設・拡大する方法について討議する場の提供を申し出たことに端を発しました。政府、民間企業、国際機関、NGO、高等教育機関、難民代表者など、約70名の参加者が2日間のワークショップに参加しました。その4分の1は、オーストラリア、カナダ、フィリピン、韓国など海外からの出席者でした。アジア太平洋地域における教育パスウェイズの拡大を目指す会合を開催することは、JICUFがグローバル難民フォーラムに提出したプレッジの支柱の一つです。ワークショップの主な焦点は雇用でしたが、難民の背景を持つ学生が大学卒業後に有意義な仕事を見つけ、社会の自立した一員となることができなければ、教育パスウェイズの本来の目的は達成されないため、JICUFにとっても重要な内容でした。
日本における技能に基づくパスウェイズとして紹介されたプログラムは4つありました。国際協力機構(JICA)のJISR(シリア平和への架け橋・人材育成プログラム)およびPEACE(未来への架け橋・中核人材育成プロジェクト)、パスウェイズ・ジャパンとJICUFによる日本語学校・大学への受け入れプログラムと就職サポート、株式会社晃和とヒューマニタリアン・イノベーション・グループによる愛知県における就労プログラム、そしてトヨタ自動車株式会社とTalent Beyond Boundariesの移民・難民のためのトレーニング・プログラムです。日本で労働力不足がますます深刻化する中で、難民と雇用者の双方が直面している課題には、十分な日本語教育の機会がないことや、雇用者側の難民を採用・活用するためのキャパシティが不十分であることなどがあります。
ワークショップの2日目には、技能に基づくパスウェイズを拡大するための国際的な取り組みがについて学びました。具体的には、カナダ政府のEconomic Mobility Pathways Pilot(EMPP)、オーストラリアのディーキン大学のCentre for Refugee Employment, Advocacy, Training and Education(CREATE)プログラム、そしてTalent Beyond Boundariesの人材カタログと雇用者とのマッチングが紹介されました。
「難民の体験」に関するセッションは、参加者に深い印象を残しました。ミャンマー、ウクライナ、シリア、アフガニスタン出身の4人の難民代表者がそれぞれの体験を共有し、政策提言を行いました。提言には、心理社会的支援や就労支援の強化、政策立案への難民の参加、住居の安定確保などがありました。
ワークショップは、既存の関係を強化するとともに新たな友情を育み、将来の協力に向けた新しいアイデアを生み出しました。カナダ大使館とパスウェイズ・ジャパンに、この重要なイベントを共催していただいたことに感謝するとともに、情熱を持って難民の支援に取り組むすべての参加者に感謝の意を表します。