JICUFがグローバル難民フォーラムにプレッジを提出
難民問題について討議する世界最大の会議である第2回グローバル難民フォーラムが、12月13-15日にスイス・ジュネーブで開催されました。4年に一度開催されるこのフォーラムでは、各国政府、国際機関、NGO、難民などの代表が一堂に会し、難民に関するグローバルコンパクト*が掲げる目標の達成について話し合われました。難民問題に取り組む諸機関は、今後4年間に実施予定の活動について宣言(プレッジ)を行うことが奨励されています。
JICUFは2017年より、シリア人学生イニシアチブ(SSI)の実施を通して難民の高等教育に携わっており、2019年の第1回会議では、ICUで難民学生を引き続き支援することと、アジア太平洋地域で難民の高等教育支援に関する会議を開催してベスト・プラクティスを共有することの2点を宣言しました。このプレッジはすでに実施が完了しました。
今年の会議では、一般財団法人パスウェイズ・ジャパンと共同で、より充実した内容の宣言を行いました。主な内容は以下の通りです。
(1) 16大学との協力を通じ、新たに20人の難民を受け入れ、また受け入れ済みの65人への支援を継続して、日本語・高等教育と就活支援を提供する。さらに受け入れ大学・学生のネットワークを運営し、受け入れ大学を拡大する。
(2) 9校の日本語学校との協力を通じ、新たに96人の難民を受け入れ、2年間の日本語教育、進学・就活支援を行う。また、採用企業のネットワーク構築と、難民の運営参加を進める。
(3) アジア太平洋での教育と就労を通じたパスウェイズの定期会合を開催し、地域での普及を促進する。
各国政府による受け入れ(第三国定住)を補完し、難民を第三国に受け入れるプログラムは「補完的パスウェイズ(Complementary Pathways)」と呼ばれ、教育の機会を通じて受け入れるプログラムは(補完的)教育パスウェイズ((Complementary) Education Pathways)と呼ばれています。
宣言の全文は、グローバル難民フォーラムのウェブサイトでJapan ICU Foundationを検索の上、ご覧いただけます。今年の宣言が2019年の宣言と大きく異なるのは、ICU以外に15の大学と、日本語学校9校と共同で、より多くの難民の学生を日本に受け入れる点です。ロシアによるウクライナ侵略で、日本の教育機関の間で難民学生の支援に対する関心が高まり、パスウェイズ・ジャパンとJICUFはこれまでに共同で60名以上のウクライナの学生を日本の大学に受け入れる支援をしてきました。さらに、今年は日本語学校によるシリア、アフガニスタン、ウクライナ3カ国の学生の採用にも貢献しました。JICUFは、SSIで培った経験を、他大学や日本語学校への学生採用に直接活かしています。
JICUFは、今後も最も困難な立場に置かれた若者に高等教育の機会を提供し、彼らが安定した生活を築く支援をします。今後4年間に、2023年のグローバル難民フォーラムに提出した宣言を実施するため、パートナー諸機関と意欲的に取り組む予定です。
*難民に関するグローバル・コンパクトは、2018年12月に国連総会で採択され、以下の4つの目標を掲げています。(1) 周辺受入れ国の負担軽減、(2)難民の自立の向上、(3)第三国へのアクセス拡大、(4)出身国への尊厳をもった帰還のための環境整備
JICUFは高等教育の機会提供を通して、3つ目の目標に貢献します。