JICUFが日本政府に留学生のビザ発給再開を求める要望書を提出
10月21日、JICUFエグゼクティブ・ディレクターのポール・ヘイスティングスが在ニューヨーク日本国総領事間を訪れ、日本政府に留学生・研究者へのビザ発給再開を求める要望書を山野内勘二総領事に提出しました。要望書には、海外の大学の教職員、学生、その他の専門家650人ほどが署名しました。
日本政府は昨年春、新型コロナウィルス対策として留学生や研究者へのビザの発給を中止し、秋に一旦再開したものの、今年1月には再び中止しました。現在、国費留学生の入国は認められていますが、留学生の96%を占める私費留学生は依然として入国できません。この事態は、日本の高等教育機関及び日本での研究を予定していた学生や研究者に大きな打撃を与えています。出入国在留管理庁によると、2021年上半期に日本に渡航できたのは、2019年上半期からほぼ9割減の7,078人でした。先進7カ国(G7)で新規留学生を受け入れていないのは日本だけです。
現在、日本の大学と海外の大学との交換留学制度は、日本の学生は海外の大学に行けても、海外の学生は日本の大学には行けないという、一方的な制度になっています。ハーバード大学エドウィン・O・ライシャワー日本研究所エグゼクティブ・ディレクターで、JICUFの理事を務めるギャビン・ホワイトロウ博士は、同研究所は通常年間100名ほどの学生や教職員を日本に送っているが、過去1年間は、日本国籍を有する数名の学生を除き、一人も日本に渡航することができなかったと述べています。このような状況の中、日本の大学とのパートナーシップを再考せざるを得なくなっている大学もあります。
留学生の激減により、日本の大学の多様性は著しく下がりましたが、これは政府が目指す大学のグローバル化の進展を逆行させるものです。日本への渡航を予定していた学生や研究者の一部は、留学先を変更したり、研究の焦点を調整して対応していますが、フィールド調査が無期限に延期され、生活に支障が出ているケースもあります。オンラインで入学することを選んだ海外の学生の多くは、厳しい時差やオンライン授業の制約に悩まされており、心身ともに影響を受けています。中長期的には、入国停止措置により、学界における日本への関心が低下する恐れもあります。
ICUも加盟している一般社団法人日本私立大学連盟(私大連)は、今月上旬、同様の要望書を日本政府に提出しました。JICUFは英語で要望書を作成し、日本国外の高等教育機関などに署名を呼びかけました。総領事館訪問前には、ポール・ヘイスティングス、ホワイトロウ博士、そしてハーバード大学のアンドリュー・ゴードン教授がオンライン記者会見を行いました。
山野内総領事は、感謝の意を表し、要望書を政府に届けると述べました。さらに、日本政府が新型コロナウィルスの拡大を防ぐために必要な対策を取り、それが功を奏したことを強調しつつも、学生や研究者間の交流は極めて重要であるとし、今後の方針に反映させたいと述べました。