JICUFがUNHCRとアジア太平洋地域における難民高等教育に関するオンライン会議を共催
2017年、JICUFはトルコに居住するシリア人学生がICUで学ぶためのシリア人学生奨学金(SSI)を設立しました。以来4名のシリア人学生がICUに入学し、さらに1名が2021年4月に入学する準備を進めています。この奨学金は、困難な状況にある若者に高等教育の機会を提供し、ICUの多様性をさらに深めることを目的として設立されました。過去数年間、JICUFはICUとNPO難民支援協会(JAR)と共同でこのプログラムを運営してきました。
日本でも複数の大学が難民学生のための奨学金を提供していますが、すでに日本国内にいる学生を対象とする奨学金が多い中、SSIは国外にいる学生を募集し、学部教育を受けるために日本に受け入れるプログラムです。設立時には予想もしていなかったことですが、実施後、SSIは高等教育を通して難民を第三国に受け入れるプライベート・スポンサーシップ・プログラムとして国際的に注目を浴びることになりました。国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)はSSIをアジア太平洋地域の他の機関が模倣しうる一つのモデルと捉え、難民の高等教育へのアクセスの拡大に寄与する可能性を見出しました。現在世界の若者の37%が高等教育を受けているのに対し、高等教育を受けている難民はわずか3%です。UNHCRは2030年までにこの割合を15%に引き上げる目標を立てていますが(15 by 30)、これを達成するためには世界各地でより多くの教育機関が積極的に難民学生を受け入れる必要があります。
過去数年間、JICUFはUNHCRが主導するEducation Pathways(教育を通した補完的受け入れ)に関する国際的な議論に参加してきました。Education Pathwaysとは、難民が高等教育の機会を通じて第三国に移住し保護を受けることを指します。2019年12月に開催された世界難民フォーラムに際して、JICUFは2020年後半にアジア太平洋地域でUNHCRと難民の高等教育に関する会議を共催することを誓約しました。しかし今年前半に新型コロナウィルス感染症が拡大したことを受けて、対面式の会議ではなく、オンライン会議シリーズを開催することにしました。会議の目的は、難民の高等教育へのアクセス拡大を目指すアジア太平洋地域の高等教育関係者が互いの取り組みについて学び、ベストプラクティスや共通の課題について情報交換することです。
7月にOnline Discussion Series on Higher Education Initiatives for Refugees in Asia and the Pacificと題したオンライン会議の第1回と第2回を開催し、それぞれに80名ほどが参加しました。約20ヶ国の高等教育機関、NGO、政府や難民の代表者がズームのブレイクアウトルーム(分科会)で活発な議論を行いました。第1回では地域における難民高等教育の現状を概観し、第2回ではEducation Pathwaysの主要な要素や取り組みについて討議しました。8月の休憩を挟み、9月には中等教育から高等教育への移行を支援するブリッジ・プログラム及びConnected Learning(オンライン授業と対面式授業を組み合わせた教育方法)についてさらにf2回の会議開催を予定しています。
一連の会議を通して共通の目標に向けて尽力する仲間と出会い、意見交換をすることはエキサイティングであり、この場から難民の高等教育を支援するための新たなネットワークやパートナーシップが生まれることを願っています。