JICUF助成金受賞者スポットライト:車椅子バスケットボール体験会
保健体育科の高梨美奈特任講師は、2月20日(水曜日)及び22日(金曜日)にICUのVジムにおいて「車椅子バスケットボール体験会」を開催しました。高梨先生は、ICUが多様性を大切にしているにもかかわらず、学生が障がい者と交流する機会が少ないことから、パラリンピックの種目の一つである車椅子バスケットボールに挑戦する機会を与えたいと考えました。JICUFはこのプロジェクトを支援するため、昨年秋、高梨先生に236,000円の助成金を授賞しました。このイベントは、昨年1月に山内宏志専任講師が企画したブラインドサッカー体験会に次ぐ2度目のパラスポーツイベントでした。
体験会では東京の女子チームGRACEのコーチの長野志穂さんと元パラリンピック選手の多智利枝さんを講師として招き、長野さんがメインで車椅子の基本操作やバスケットボールの動作を教え、最後にはゲームも行いました。お二人の他に、パラリンピックを目指す2名の小田島理恵選手、坂本真実選手、東京都多摩障害者スポーツセンターの池内星帆さんも参加しました。
体験会は20日・22日ともに午後1時から2時50分まで開催され、約25名ほどの学生が参加しました。
以下は高梨先生からの報告です。
PEの授業で一部行った車いすバスケットボール。
パラスポーツの中でもスピード感があり、実際にやってみると想像以上におもしろいスポーツです。ぜひ、授業だけでなく、多くの学生さんに体験してもらい、パラスポーツの存在を知ってほしい。そして、スポーツを通して、障害を身近に感じ、理解を深めるきっかけになればと思い、今回、JICUFに申請をし、車いすバスケットボール体験会を2日間に渡り開催することができました。2日間で、学生25名、職員や教員を含め8名参加して下さいました。
東京の女子チームGRACEのコーチと選手から、車いすの簡単なスキル、ドリブルを教えてもらい、さっそくゲーム開始。ランチタイムのみの学生はここで終了。その後、休憩を挟み、選手の皆さんが車いすバスケットを始めるきっかけをお話いただきました。おひとりずつ、それぞれ異なる壮絶な体験をお話しいただき、想像を絶する大変な思いを乗り越え、今、前向きにパラリンピックを目指す姿に刺激を受けました。その中で話してくださった、「いまだに走る夢を見る」という言葉と「事故にあって、人に頼っていいんだ、と気が楽になった」いう対照的な言葉、「誰にでも障害者になる可能性はある」という言葉、そして「命さえあれば」という言葉が、心に響きました。学生の皆さんはどんな思いで聴いていたのでしょうか。選手の皆さんがバスケットボールを始めるきっかけを伺った後、日常生活で困ることなどを伺い、その後、またゲーム再開。6分ゲームを繰り返し行いました。
パスがなかなか通らない。シュートが届かない。けれども、みんな笑顔で必死に車いすを漕いでいました。おそらく翌日は筋肉痛だったのでは。
最近、ルールが変わり健常者でも一緒に試合に出られるようになったそうです(障害の程度によって持ち点があります)。もっと気軽に、障害の有無に関わらず一緒にスポーツが楽しめる社会が広がればと思います。そのようなことをきっかけに、「障害」とひと括りにせず、一人ひとり異なる障害のことや困っていること、お互いを知ることが、バリアフリーの1つなのではないでしょうか。
障害者の方に「こんなこと聞いてもいいのかな。失礼では」という思いを抱える学生も多いと思います。けれども勝手にイメージするより、まずは聞いてみてください。「何か手伝えることはありますか」と声をかけるだけでも。今回の体験会がそのきっかけにもなることを願っています。
体験会に参加した学生さんの一人は、以下のコメントを高梨先生に寄せてくれたそうです。
車椅子バスケットボールの存在は漫画やパラリンピックで知っていましたが、実際に体験する機会が無く今回の体験会は本当に貴重な時間になりました 。10年近くバスケットボールをプレーして来た身として、当たり前ですがバスケットボールとは全く別のスポーツである事を身をもって感じさせられました。コーチの方が「同じルールの元で同じ知識を持ってプレーすれば健常者とか障がい者とかは関係無い」と仰っていたことがとても印象的で、スポーツの凄さを改めて学ぶことが出来ました。