JICUF米国人学生イニシアチブ奨学生がICUに入学
JICUFは昨年、ICUでの学位取得を目指す米国人学生に対し、学部教育4年間の学費を全額支給する奨学金制度、米国人学生イニシアチブ(United States Scholars Initiative: USSI)を設立しました。初の受賞者であるアナスタージ・マレッツは、8月末に来日し、9月1日にICUに入学しました。アナスタージは バージニア州出身で、これまでの6年間、日本語を学んできました。将来の夢は、日本で英語の教師になることです。JICUFスタッフが9月下旬に彼をインタビューしました。
JICUF:この奨学金に申し込んだきっかけを教えてください。
アナスタージ: 奨学金について教えてくれたのは高校の日本語の先生です。先生は奨学金の情報をすべて印刷し、それを私の机に置いて、「締め切りが近いから、今すぐ申し込まないと!」と言いました。書類に目を通してみて、「ずっと前から日本で教育を受けたいと思っていたし、何年も日本語を勉強してきた。これは自分にぴったりのチャンスだ!」と思いました。しかし大学に進学すること、具体的には学費を支払えるかどうかは、私の家族にとって大きな問題でした。将来は教師になりたいので、高等教育は欠かせません。でもあらゆる奨学金に応募し、できる限りの資金援助を得なければならないという不安が常にありました。USSIについて知った時、「このチャンスを逃してはならない」と考え、応募しました。
JICUF: 日本とICUでの生活の感想を聞かせてください。驚いたことはありますか?
アナスタージ:とても楽しんでいます!美しくて、猫がいるキャンパスが大好きです。留学生が多く、日本人やアメリカ人だけでなく、色々な国の人がいます。既にドイツ、スペイン、韓国出身の友達ができました。国際的なコミュニティで育ったので、まるで故郷にいるような感じがします。
日本での生活もとても楽しいです。過去に一度日本に来たことがありますが、その時は旅行者として文化の表面には触れたものの、深く知るには至りませんでした。今は日本文化にどっぷり浸かっていて、最高です。一番苦労したのは多分スーパーでの買い物です。まだ食材の名称をあまり知らないので。
一番わくわくするのは、日本の公共交通機関です。私が生まれ育った場所ではバスは当てにならず、いつも時刻表通りに動く日本のシステムには感心しています。これまではリサーチを通して日本について学んできましたが、今は実際の体験を通して学んでいます。
JICUF:ICUにいる間にやりたいことは?
アナスタージ:まずは無事卒業することですね(笑)。大学の最終目標は教師になることです。自分自身の学習プロセスを知った上で、人の教育を支援したいと思います。また、自分自身を知りたいと思っています。自分の教育と人生に対して、完全な決定権を持ったのはこれが初めてです。ICUに来て、まだ1ヶ月もたっていませんが、この短期間に既に日本、日本語、そして自分について多くを学びました。
卒業するまでには、その後日本に残って大学院に進学したいかどうかがはっきりすると思います。日本で英語の教師になりたいと思っていますし、日本に残るチャンスを失いたくありません。6年間も日本語の勉強に打ち込んできたので、続けたいと思っています。
他には、自分がありのままに、オープンでいることによって、大勢の人に違う世界を示すことができると思っています *。バッグにプライド(LGBTQ)の缶バッジをたくさん付けているのですが、よくそれについて聞かれます。多くの人にとって、LGBTQの人間に出会うのは初めてのことで、私がフレンドリーで、自分のアイデンティティについて聞かれるのを歓迎していることを知ってもらいたいです。また、私は私で、世の中は自分が思うほど冷たくないと実感できて嬉しく思っています。私が育った場所では、教会との関係は必ずしも良くなかったので、ICUのCを考えると、ここでみんなに受け入れらることはとても喜ばしいことなのです。ICUでは偏見がなく、ありのままの自分でいられます。
JICUF:ありがとうございました。学生生活頑張ってください!
*アナスタージはトランスジェンダーで、そのことについてオープンに人と話したいと考えています。